今の時代はコンピューターを使えば簡単に漢字を表記できます。手書きでは使わない文字まで漢字にしがちです。
しかしなんでも漢字表記にすればいいとは限りません。間違っていないからといって正しいというわけではないからです。
漢字を使いすぎると違和感が出る
「有難う御座います」
見た瞬間に違和感を覚えたのではないでしょうか。日本語として間違いではありませんが一般的に使わない表記です。
使うことがあるとすれば特別な理由のあるときだけです。
漢字を多用したからといって文章の質が上がるわけではありません。漫然と作成された文章だと判断されるかもしれません。むやみに使うとかえって逆効果です。
たかが漢字表記だけでネガティブなイメージを受けてしまうのです。なんの得にもなりません。
「漢字を開く」とは?
正しい漢字を使っていれば正解だとは限りません。漢字は日本語を読みやすくするための手段だからです。漢字を使いすぎると違和感を覚えたり読みづらくなります。
「漢字を開く」ことで文章を読みやすくすることができます。漢字表記にする必要のない文字はひらがなにするのがポイントです。
読みづらい漢字もひらがな表記にすることでわかりやすい文章になります。
漢字を開く例
「見る」や「言う」はよく開かれる漢字です。
「やって見る」と表記するのは違和感があるので「やってみる」というように開きます。
といった具合です。
個人的には「繰り返す」を「くり返す」と開くようにしています。
ワープロが普及し始めた時代の話
むやみに漢字を多用してしまうという話は過去にもありました。今から30年ほど前です。
1990年ごろに日本ではワープロ専用機が爆発的に普及しました。
日本でパソコンの普及が遅かった理由の一つは日本語にあります。昔のパソコンは日本語が処理できるほど高性能ではありませんでした。
ワープロ専用機は日本語入力に特化しているうえに価格が抑えられていました。そのため文章作成のみの機能に関わらず普及しました。
簡単に漢字変換ができるため漢字が多用されるようになりました。普段使わないような文字まで漢字で表記されます。しかしそういった文章は読みづらいのです。
当時はちょっとした社会問題になっていました。そこで漢字の使いすぎが自重される風潮になったのです。
Windows95の発売以降は日本でもパソコンの普及が進みました。この時期はまだワープロ時代の教訓が生きていました。しかしスマホ時代になるとワープロ時代を知らないユーザーが増えてきます。
そしてまた同じようなことがくり返されるようになったのです。
おわりに
正しい漢字を使っていたからといって正しい文章とは限りません。間違ってないからといって正しいわけではないのです。
文章で重要なのは読みやすいことです。漢字を開くことで読みやすい文章を意識してみてはどうでしょうか。