電化製品の動作が不安定。一旦不調になったら電源を入れ直したりコンセントを差し直すと正常に動作する。完全に壊れるならともかく半端に動作します。
こんな不具合に遭遇した経験はありませんか?
目次
謎の不調はコンデンサが原因の可能性
電化製品が不安定な動作をするときは「コンデンサ」の不調の可能性があります。
コンデンサは電子部品の一種です。「キャパシタ」と呼ばれることもあります。電子回路の中で一時的に電気を蓄える働きをします。あまり目立たない存在ですが重要な働きをしています。
コンデンサは寿命が尽きかけていても動作する場合があります。電化製品が不調になったり正常に動作したりすることがあるのはこのためです。
コンデンサには寿命がある
電化製品には大抵「電解コンデンサ」が使用されています。その中でも一般的なのは「アルミ電解コンデンサ」です。
アルミ電解コンデンサには液体の「電解液」が使用されています。電解液は徐々に蒸発して失われていきます。高温の環境ほど電解液が早く蒸発してコンデンサの寿命が短くなります。
電解液が失われていくとコンデンサの動作が不安定になり電化製品の不調につながります。
たとえ他の部品が正常でも電解コンデンサの寿命が尽きると動作不能になります。電化製品の中では機械的な部品を除けばもっとも早く寿命が尽きる部品といえます。実質、「電解コンデンサの寿命=製品寿命」といえます。
低価格な電化製品は低品質な電解コンデンサが使用されている場合があります。その分寿命も短くなります。価格と品質は比例するのです。
電解コンデンサは高温に弱い
アルミ電解コンデンサは「高温に弱い」性質があります。高温になるほど電解液が「蒸発」していき寿命が減っていきます。
気温が高くなる夏場は特に危険です。なるべく電化製品が高温にならないように配慮が必要です。自動車の車内は70℃に達することもあるので最悪な環境です。
高温に強い固体コンデンサ
「固体コンデンサ」は「アルミ電解コンデンサ」とは違い「電解液」を使用しないタイプのコンデンサです。現在ではアルミ電解コンデンサに代わって使われることが多くなっています。
高温に強く電解液の蒸発もないため高い耐久性を発揮します。パソコンのマザーボードやグラフィックボードによく使用されています。低価格な製品を除けば大抵は固体コンデンサが使用されています。
低価格な製品はコストの関係でアルミ電解コンデンサが使用されていることがあります。そのため耐久性はそれなりです。
電解コンデンサの液漏れ問題
大規模な電解コンデンサの不良が起きていた
十数年前に粗悪な電解コンデンサの不良問題が起きていました。
外国製の粗悪な電解コンデンサが液漏れを起こすという欠陥が大量発生していたのです。不具合が起きるとアルミ電解コンデンサの電解液が外部に漏れ出しました。
液漏れを起こした電解コンデンサは動作不良を起こします。基盤が破損するほどの被害が起きることもありました。本来なら問題なく使えるはずの製品が短期間で故障に至りました。
世間ではそれほど知られていませんが、2ちゃんねるなどネットの一部では大問題になっていました。多数の被害が報告されていました。当時Twitterが存在していたら大きく取り上げられていたいことでしょう。
個人的にもパソコンのマザーボードが液漏れを起こしました。当分使う予定だったのが駄目になってしまいました。ミニコンポも同時期に壊れたのでおそらく電解コンデンサの不調だったのではないかと考えています。
日本製コンデンサは無事だった
粗悪な電解コンデンサの液漏れが多発する中で日本製のコンデンサは無事でした。日本製品の高い品質が改めて評価されました。
あれから十数年たちますがいまだに日本製コンデンサの品質は圧倒的です。
日本の技術が落ちぶれたと考えている人たちがいますが、本当に品質を求められる分野で外国製品が日本に追いつくのは容易ではありません。
コンデンサを利用すればソニータイマーが可能
「ソニータイマー」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ソニーの製品を購入して保証期間が切れたころに故障してしまうという噂されているものです。
都市伝説などと言われていますが電解コンデンサを利用すれば可能です。
寿命の短い電解コンデンサを使用すれば1年から2年程度で製品が故障するようにコントロールできます。保証期間が切れていればメーカーは責任を追う必要もありません。
意図的に行われていたとは思えません。しかしメーカーがコスト削減のために低価格なコンデンサを使っていた可能性はあります。その結果、製品寿命が短くなってしまったという可能性は考えられます。
おわりに
たかがコンデンサですが電化製品の品質に大きく影響を及ぼします。場合によっては社会に損失が出るほどなのです。
電化製品が謎の不調を起こしたときはコンデンサの寿命かもしれません。