アマゾン熱帯雨林の酸素供給量が20%というのは間違い




アマゾン熱帯雨林は南アメリカのアマゾン川流域にある世界最大の熱帯雨林です。その面積は550万平方kmにおよび、半分以上はブラジル国内に存在しています。

アマゾン熱帯雨林は「地球の肺」と呼ばれ地球上の重要な酸素供給源だと考えられています。広大な森林は光合成により膨大な量の酸素を放出します。近年の樹木の伐採や火災により森林面積の減少や生態系への影響が危惧されています。

もしアマゾン熱帯雨林が消失したらどうなるのでしょうか。二酸化炭素濃度が上昇し地球上の生物の生存が危ぶまれるのでしょうか。

アマゾン熱帯雨林は地球上の森林面積のわずか14%

アマゾン熱帯雨林の面積は550万平方kmあり日本の国土(37.8万平方km)が約15個収まる広さです。これだけでも非常に広大なことがわかります。

しかし地球上に森林が存在するのはアマゾンに限りません。他の地域にも膨大な面積の森林が存在するからからです。

地域区分ごとの森林面積

地域 面積
(1000ha)
備考
アジア 592512 日本・東アジア・南アジア・東南アジア
ヨーロッパ 1005001 ロシア・ロシア周辺国を含む
アフリカ 674419
北アメリカ 705393 アメリカ・カナダ・メキシコ・その他周辺国
南アメリカ 864351 アマゾン熱帯雨林(550000)を含む
オセアニア 191384 オーストラリア・ニュージーランド・その他周辺国
合計 4033060

※ha:ヘクタール
※1平方km=100ha
出典:国連食糧農業機関(FAO)のサイトより
Global Forest Resources Assessment 2010

地上の4分の1が森林

世界の森林面積の合計は4033万平方kmにおよびます。陸地面積(1億4724万平方km)の27.4%が森林になります。地上の約4分の1が森林ということです。環境破壊が進んでいるといわれていますが実際は相当な面積の森林が維持されているのです。

 

アマゾン熱帯雨林は地球上の森林の7分の1

アマゾン熱帯雨林の面積は地球上の森林面積の13.6%になります。世界の森林面積の約7分の1です。広大とはいえそれほど多いわけではないことがわかります。また、アマゾン熱帯雨林より規模は下がりますが、アフリカにも広大な熱帯雨林が存在しています。

アマゾンやアフリカ以外にも森林が存在します。世界規模でみるとどんな地域にも広範囲に森林が存在しているのです。

海からも酸素が作られている

一般的に森林が地球上の酸素の供給源だと考えられています。しかし海洋からも植物により酸素が供給されています。

海の植物と聞くと海草をイメージするのではないでしょうか。海底で繁殖する海草も光合成により酸素を生成します。しかし海草の生育が可能なのは深度数十メートルまでです。それより深い海では海底に届く太陽光が弱まり光合成が不可能になります。海の水深の平均は3800mです。大半の海域は水深が深すぎるため海草の育成には適しません。

では水深の深い海域に植物は存在しないのでしょうか。実はそこにも植物は存在しています。それが植物プランクトンです。

一見なにもないような海中にも大量のプランクトンが存在しています。その中の植物プランクトンは光合成により酸素を生成しています。地表の7割は海です。植物プランクトンの働きで広大な海洋が酸素供給源として機能しているのです。

海は地球上の半分の酸素を供給している

植物プランクトンにより海洋は膨大な量の酸素を生成しています。

植物は光合成により酸素を放出する一方で炭素を取り込み成長します。光合成が行われるほど植物に取り込まれる炭素の量が増えます。そこで生成される炭素の量は「基礎生産量」と呼ばれます。

陸上の基礎生産量は年間で540億トンに達します。一方海洋は500億トンと陸上とほぼ同量の炭素を生成しているのです。
出典:北海道大学 鈴木光次著 化学物質と海洋植物プランクトン

これは陸上と海洋でほぼ同量の酸素が生成されているということになります。もしも陸上のすべての植物が消滅したとしても海洋から酸素の供給が続くのです。

アマゾン熱帯雨林が消失するとどうなるのか

アマゾン熱帯雨林が地球上に膨大な量の酸素を供給していることは事実です。希少な野生動物の生息地であり環境を保護していく必要があります。

しかしアマゾン熱帯雨林が地球の肺と呼べるのかというと正確ではありません。単純に計算するとアマゾン熱帯雨林の酸素供給量は地球上の7%にすぎないからです。

熱帯雨林に生息している生物は生命維持のために酸素を消費します。森林が生み出す果実や葉をエサとして消費することで二酸化炭素を放出しています。熱帯雨林は膨大な酸素を生成する一方で数多くの生物により再び酸素を消費するのです。生物が存在する以上は森林が一方的に酸素の供給源として機能することはありません。

アマゾンの熱帯雨林が減少すると生物も減少します。酸素の供給量が減るとともに酸素の消費量も減るため地球上のトータルの酸素量に大きな変化は起こりません。

アマゾンの酸素供給量はわずか7%

地球上の酸素のおよそ半分は海から供給されています。アマゾン熱帯雨林が地球上の20%の酸素を供給しているとすると、陸上のアマゾン以外の地域で30%の酸素を生み出しているという計算になります。

南アメリカを除く広大な地域で陸上の30%の酸素を供給しているというのには無理があります。

アマゾンの20%という数字は恐らく南アメリカの森林面積で計算したものです。しかしアマゾン熱帯雨林は南アメリカの森林面積の7割程度なためこれも正確な数字ではありません。

単純に森林面積のみで酸素供給の比率を考えると、アマゾン熱帯雨林は地球上の7%の酸素を供給しているという計算になります。