【瓦記録】SMR方式のHDDに注意! 知らずに使っている可能性も

HDDは大容量化が進んでいます。「SMR」方式の登場によりさらなる大容量化が実現しました。

通常ならHDDの大容量化は歓迎されるものです。しかしSMRはメリットばかりではありません。確実にデメリットが存在します。

さらにメーカーがスペックを非公開にして販売していたことが明らかになったためユーザーに混乱が生じました。

SMR方式とは?

SMRとは「Shingled Magnetic Recording(シングル磁気記録方式)」の略です。従来方式は「CMR(Conventional Magnetic Recording)」と呼ばれています。

シングル(Shingled)は英語で「」という意味です。そのため「瓦磁気記録方式」と呼ばれることもあります。

HDDはディスク上に年輪のようにデータが記録されています。これを「トラック」といいます。

CMR(従来方式)ではトラック同士が独立して記録されています。一方SMRではトラック同士を瓦のように一部を重ねて記録しています。これにより記録密度を高めることができるようになりました。従来方式と比べて1.3倍程度の大容量化が実現しました。



SMRのメリットとデメリット

SMRを採用したHDDは大容量化が進みました。しかし特殊な方法で記録しているため従来方式にはなかったデメリットが存在します。

単純に容量だけで判断して使用すると思わぬトラブルに遭遇します。

SMRのメリット

大容量
容量単価が低い
HDDのプラッタ数を減らすことができる

従来方式(CMR)は記録密度が限界に達しつつありHDDの容量が頭打ちになっていました。SMRの採用によりHDDの容量が1.3倍に増加しました。3.5インチHDDは1プラッタで2TBに達しています。

記録密度が上がったため容量あたりの単価も下がりました。

大容量のHDDでも少ないプラッタ数で製造ができ製造コストが下がります。プラッタ数が少ないドライブでは故障のリスクを減らすことができます。

SMRのデメリット

SMRは一見メリットが大きいように思えますが確実にデメリットが存在します。

書き込みはバンド単位で行われる
書き込みが遅い
ドライブの寿命が短くなる可能性がある

 

書き込みはバンド単位で行われる

SMRは書き込みの際に複数トラックをまとめた「バンド(ブロック)」単位で行われます。

SMRとCMRのトラックの違い。

SMRは隣接するトラックの一部を重ねて記録しています。そのため特定のトラックのみに書き込むということができません。書き込めるのはバンド単位なため一度の書き込みサイズが大きくなります。

100MBのバンドに書き込みを行おうとすると100MBの読み書きが行われます。書き込みのたびに大きな容量のアクセスが発生します。書き込み速度の低下やドライブの消耗につながります。

 

書き込み速度が遅い

書き込みがバンド単位で行われるため時間がかかります。さらにバンド内に含まれるファイルはすべて再書き込みが行われます。

書き込みの前にバンド内のデータを読み込む必要があるるので「読み込み書き込み」のプロセスが発生します。従来方式よりディスクアクセスに数倍の時間がかかります。

実際はキャッシュメモリが機能するので体感的に数倍の時間はかかりません。場合によっては倍程度の時間がかかります。

 

ドライブの寿命が短くなる

SMRは一度の書き込みで大量のリード・ライトが発生します。その分ドライブが酷使されます。確実にドライブの寿命は短くなります。

書き込みが頻発する用途には不向きです。

なるべくテンポラリファイルキャッシュに使うことは避けた方がいいでしょう。起動ドライブにも不向きです。

一部の製品でSMRとCMR(従来方式)が混在している!

Western Digital の WD Red シリーズでSMRとCMRが混在して販売されていることが判明しました。

NAS向けHDD「WD Red」の記録方式をこっそり変更した件についてWDが釈明 – GIGAZINE

メーカーはこの事実を公表しないまま製品を販売していました。パッケージからはSMRかどうかは判別できません。知らずにSMRのHDDを使用しているユーザーが大勢いることになります。

さらにWDだけではなくSeagate東芝でもSMRであることを表記せずに製品を販売していたようです。

CMRとSMRでは大違いです。SMRを従来方式の感覚で使用していたらトラブルの原因になります。



SMRとCMR(従来方式)のどちらを購入すればいい?

容量にこだわらなければCMR

現在のHDDはすでに大容量なので一般的な用途なら容量は余ります。SMRのメリットはそれほどありません。CMR(従来方式)を選んだほうが確実です。

特にデータを作成するような用途にはSMRは不向きです。ランダムな書き込みが頻発するので結果的に膨大な量のディスクアクセスが発生します。SMRだからといってまったく使えないわけではありませんがCMR(従来方式)を選んだほうがいいでしょう。

大容量が必要ならSMR

SMRのメリットは容量です。読み出しがメインの用途ではSMRでも問題ありません。

たとえば大量の動画をHDDに記録しておくといった用途ならSMRの容量を活かすることができます。動画なら書き換えが起きません。ファイルサイズが大きくても大容量なので余裕を持って使用できます。

動画に限らずアーカイブとして使用するならSMRの大容量を活かすことができます。

CMR(従来方式)のHDDを購入するにはどうすればいい?

現在はSMR方式かどうかはパッケージからは判断ができない状況です。知らずにSMR方式のHDDを購入してしまう可能性があります。

詳細な仕様はメーカーのサイトから情報を得るしかありません。CMR方式を購入しようとした場合いろいろと調べる必要があり手間がかかります。

そういった中でメーカーは情報を公開しつつあります。

Western Digital のCMR製品

2020年4月22日、Western DigitalSMRを採用したHDDの情報をブログで公表しました。シリーズごとに採用されている記録方式が記載されています。一部のシリーズのみがCMRになっています。

3.5インチ
WD Red Pro
WD Black
WD Purple
3.5インチHDDではこれらの3シリーズがすべてCMRを採用しています。

2.5インチ
WD Red
2.5インチHDDは WD Red のみがCMRです。

その他のシリーズは容量によってSMRとCMRが存在します。購入する際は注意が必要です。

※2020年4月22日の情報です。今後は変更される可能性があります。

RAMディスクを活用しよう

SMRのHDDを使用している場合は不必要な書き込みを避けるようにすることが望ましいです。

特にブラウザキャッシュはひんぱんにドライブへ書き込みが行われます。残しておく必要のないデータのためにドライブを消耗させる必要はありません。

パソコンのメモリに余裕があるならRAMディスクを使用するのがおすすめです。

RAMディスクについてはこちらの記事を参考にしてください。
【Windows】SoftPerfect RAM Diskでパソコンを高速化しよう
【Windows】RAMディスクをブラウザのキャッシュに使おう

SMRに限らずSSDやCMR(従来方式)のHDDでもRAMディスクの使用は有効です。

おわりに

SMRによってHDDは大容量化が進みました。しかしメリットばかりではありません。確実にデメリットが存在します。

さらにメーカーの対応が混乱を発生させています。ユーザーが簡単に判別できる状態なら問題ありませんが現在のところそうはなっていません。ユーザーが情報を得て自衛しなければなりません。

SMRが悪いというわけではありません。特徴を把握することでメリットを活かすことができます。ぜひ参考にしてみてください。