日本の技術力は本当に衰退したのか




「日本は衰退した」「技術力で他国に追い越される」よく聞くフレーズです。

現在、スマートフォンやメモリなどのハイテク分野で日本は劣勢です。アップルのような世界的に支持されるスマートフォンも存在しません。日本製スマートフォンの世界的シェアは微々たるもので、ガラケーのように国内での流通に留まっています。

こういった現状をみると日本の技術が世界的に遅れを取っているように感じるのは仕方のないことかもしれません。

近隣国との軋轢で判明した衝撃の事実

現在日本は近隣国との間に経済的な軋轢が起きています。関連する報道から得られる情報を見ているうちに日本の技術力はそれほど落ちていないということがわかってきました。

ハイテク製品を製造するには高品質な素材や製造装置が必要です。日本はそれらの製品を多岐にわたり製造しているのです。さらにハイテク分野で日本は重要な地位を持っていることが明らかになります。

 

極めて高品質な日本製ハイテク素材

高純度フッ化水素

高純度フッ化水素は半導体製品の製造工程などに使用されます。極めて高い純度が要求されます。日本製の高純度フッ化水素の純度はトゥエルブナインと呼ばれるものです。9が12個並ぶという意味で「99.9999999999%」という驚異の純度を誇ります。日本のステラケミファと森田化学工業が世界シェアの大半を占めています。

純度が下がれば他国でも製造可能です。しかしハイテク製品は非常にデリケートです。顕微鏡サイズの微細な不純物がひとつでも付着すれば不具合の原因になりかねません。純度の低いフッ化水素を洗浄に使えば製品の質が下がり歩留まりが悪化します。不純物は限りなくゼロが望ましいのです。

 

積層セラミックコンデンサ

メモリ基盤上の積層セラミックコンデンサ

MLCC(積層セラミックコンデンサ)は聞き慣れない名前ですが現在の電化製品に必須の部品です。パソコン用メモリの基盤をよく見ると微小の四角い部品がいくつもついています。これがMLCCです。

MLCCはスマートフォンやテレビ、自動車にいたるまであらゆる電化製品に使用されています。製品によって数百から数千個が使用されます。MLCCなしに現在のハイテク製品は成り立ちません。

自動車用のパワートレインに使用されるMLCCは日本の村田製作所とTDKが世界シェアの100%を持っています。日本以外からの調達は不可能です。もし日本からの供給が滞れば世界中の自動車産業が支障をきたします。

ハイテク分野について一般人が知る機会はなかなかありません。しかしたった2品目をみるだけでも日本製品が世界的に重要な地位を占めていることがわかります。さらにこれ以外にも何百、場合によっては何千と重要な製品が存在するのです。

スマートフォンやメモリには日本製品が使われている

現在、日本メーカーが販売しているスマートフォンの大半は自社で開発や製造を行っていません。中身は台湾やチャイナ企業のOEMやODM製品です。日本はスマートフォンの製造とは無関係になったのでしょうか。

実はスマートフォンには日本製の部品が多数使用されています。先程挙げたMLCCもそうです。カメラはソニーのCMOSセンサが高いシェアを持っています。それだけではなくCPUやメモリにも日本製の素材が使用されています。

CPUやメモリなどの半導体チップを製造するにはシリコンウェハが必要です。日本は信越半導体とSUMCOで合わせて約60%の世界シェアを占めています。他国製のCPUやメモリでも素材は日本製です。一見日本製品ではないものでも中身には日本製の素材が使用されているのです。

 

日本はゴールドラッシュで儲けた商売人と同じ

19世紀中頃にアメリカのカリフォルニア州でゴールドラッシュが起きました。大勢が一攫千金を夢見て金を掘りました。

この時期に大金を手にしたのは誰でしょうか。金脈を掘り当てた人物でしょうか。確かに金を掘り当て大金を得た人はいました。しかし一番利益を得たのは彼らではありません。

当時最も儲けていたのは金鉱掘りを相手に商売をしていた人たちです。彼らはテントやシャベルなどの物資を売り利益を出しました。中でもテントに使用される生地を使って作られた作業着は大ヒットしました。作業着を考案した人物は後にジーンズで有名なリーバイス社を創業します。

日本の技術は衰退した、他国に追い抜かれると主張する人たちがいます。しかし彼らが見ているのは物事の表面だけです。ゴールドラッシュで金を掘っている人たちを見ているのです。

日本は一見目立たない分野で核心素材を製造して利益を得ています。供給が滞るだけで他国に甚大な影響が出るようなものばかりです。日本製品がなければ成り立たないような外国企業も存在します。地道にコツコツと技術開発を進めてきた人たちには頭が下がります。日本の技術力は衰退するどころか国際的な重要度が増しているのです。